Q&A
歯周病と言われましたが、治療をしなかったらどうなるの?
歯周病は自然治癒することがありません。またサイレントディジーズ(Silent Disease:静かなる病気)とも表現されるようにひどくなるまで病気と自覚されることの少ない病気です。そのまま放置しておくとその歯の寿命が短くなるばかりか、健康な歯にも悪影響をおよぼし、お口の中全体が悪くなっていきます。また最近では、全身疾患との関係も明らかになってきており、まさに「歯周病は万病のもと」とも言えるでしょう。
歯周疾患を治すことはできますか?
はい。歯周疾患の原因は歯周病原菌ですので、これをコントロールすることが主な治療になります。軽度の歯周疾患は、簡単な歯周基本治療で完治できます。中等度以上の歯周病になると治療が複雑になりますが、歯周基本治療に加え外科処置、再生療法などで治癒させるとができます。ただし、重症度が増すと治すことが不可能になり、抜歯せざる得ない場合もあります。是非、かかりつけ歯科医を持ち早期の治療をお勧めします。
歯垢(プラーク)って何でしょうか?
歯垢はプラークとも呼ばれ、歯に付着している白または黄白色の粘着性の沈殿物で、非常に多くの細菌とその産生物(バイオフィルム)から構成されています。
また歯垢は強固に歯に付着しているだけでなく、薬品だけでは除去しにくい状態になっていますので、健康な状態を維持するためには、付着した歯垢をしっかりと歯ブラシ等で除去することが必要です。
歯はいつ頃磨けばいいの?
なるべく、食後すぐ磨くのが理想的でしょう。なぜなら食事の後は、口腔内細菌の活動性が高まるからです。またプラークは時間がたつにつれ、歯の表面に粘着性の層を堆積してとりにくくなります。しかし、不充分な歯磨きを一日三回毎食後にするよりは、夜寝る前の一回だけでもしっかり時間をかけて丁寧に行き届いた歯磨きをした方が効果的だと思われます。
歯周病の治療はどのくらいの期間かかるの?
歯周治療は歯ぐきの治り方やブラッシングの状態を確認しながら、次のステップの治療へ移行しますので、初期の歯肉炎であれば、比較的短期間で終了することもありますが、中等度以上の歯周病の場合には、病状の程度にもよりますが、比較的長期にわたる場合が多いいようです。治療後も引き続きメインテナンスが不可欠で、定期的な受診が必要です。
歯が抜けたままにしておいて、他の歯に影響はありますか?
あります。抜けたままにしておくと、隣の歯が倒れたり、噛み合う反対側の歯が伸びてきて段差ができてると汚れが溜まり、新たな歯周病やむし歯の原因になることがあります。またその歯がなぜ抜けたか、原因によりますが、歯周病で抜けた場合は隣の歯や、他の部位にも歯周病の問題があるので、全体的によく健診する必要があります。
治療が終わっても歯科医院には定期的に行ったほうがいいの?
痛みがある、ないではなく、病気になる前に定期的に健診に行くことは非常に大事です。病気を早期発見し、未然に防ぐことが健康の基本です。
各個人の歯ぐきの状態によってさまざまですが、かかりつけの歯科医による歯ぐきの健康診断に加えて1ヵ月ごとから年に2~3回は定期的に歯科医院に行くようにしましょう。受診する間隔は、その方のお口の状態にもよりますので、かかりつけの先生にご相談ください。
定期的なメインテナンスは必要ですか?
必要です。歯周病は感染症で再発のしやすい病気です。セルフケア(ブラッシング)だけでは、完全に歯垢を除去することは困難です、このセルフケアで除去しきれない、歯垢や歯石を専用の器具できれいに取り除くプロフェッショナルケア必要になります。毎日のセルフケアと定期的に専門的なクリーニングを受けメインテナンスを継続していくことが、大切です。メインテナンスは、重要な歯周治療の一部分なのです。
メインテナンスを途中で中断したのですが・・・
メインテナンスも重要な歯周治療の一部分です。歯周病は主に口腔内の細菌が原因で発病する疾患です。したがって、この細菌を除去し続けることが歯周病を予防し、お口の健康を維持するために必要となります。細菌の集団である歯垢は、毎日の適切なブラッシングでほとんど除去することが出来ますが、深い歯周ポケットの中や歯並びの悪い所にある細菌はご自身のブラッシングだけでは除去できませんので、メインテナンスを途中で中断した場合、歯周病が再発したり、新しいう蝕が発生して、以前に行った治療の効果が失われてしまいます。歯科衛生士による専門的なクリーニングを受け定期的なメインテナンスを継続していくことが、歯周治療のゴールとなります。
歯周疾患を予防することはできますか?
はい。原因は歯周病原菌です。歯周病原菌を除去することによって、予防することができます。かかりつけ歯科医や歯科衛生士から、歯周病原菌の除去法(ブラッシング法)を指導してもらうことが効果的です。
歯周病の予防はどうしたらよいのでしょうか?
歯周病の原因は歯垢です。これがたまらないようにすることが基本です。そのためにはまず、正しい歯磨きの方法をおぼえることが大切です。しかし、正しく磨いているつもりでも苦手な部分や自分では磨きにくい部分があったり、各個人の歯ぐきの状態によって、それぞれ微妙に磨き方が異なっていたりするので、定期的に歯医者さんに行って、正しく歯ブラシが行われているのかチェック及び磨きにくい部分の専門的な口腔内の清掃、そして口の中の良い環境をつくるために歯石除去を行ってもらうと良いでしょう。
一生自分の歯で食べることはできますか?
はい。多くの臨床研究、疫学的研究で歯周疾患やむし歯を適正に予防し、治療することで、歯周疾患やむし歯は、ほぼ完全に制御できることが証明されています。また、結果として、“自分の歯で一生食べる”ことができることも証明されています。しかしながら、日本の歯科医療においては、まだまだ完全に実践されてないようです。 歯周治療やむし歯の予防に積極的に取り組み、歯周治療に精通している“かかりつけ歯科医”持つことをお勧めします。
電動歯ブラシだけで歯周病予防は万全ですか?
電動歯ブラシも手動歯ブラシも同じブラッシングの道具です。正しく使うことが大切で、どちらが効果があるとはいえません。また個人差はありますが、確かに歯ブラシだけでは磨ききれない場所は出てきます。たとえば歯と歯の間などがそうでしょう。このような場所には歯間ブラシやデンタルフロスといった補助的な道具が必要になります。ただし高齢や病気などの理由で、手が動かしづらい場合には電動歯ブラシは、効果的な道具となるでしょう。
歯周病の予防に歯みがき粉は何が良いのでしょうか?
またどれくらい効果があるのでしょうか?
一番大事なのは、どの歯磨剤を使うかではなく、いかに磨き残しを少なくブラッシングでプラークを除去できるかどうかということです。様々な薬効がはいっているものもありますが、効果はあくまでもプラークをしっかりと歯ブラシなどで除去した後の補助的なものと考えるとよいでしょう。
どんな歯ブラシが良いのでしょうか?
一般に大きさは人差指の第一関節程度(25mmまで)と言われていますが、万人に適した歯ブラシというのはありません。歯磨きの方法と同様で、個々の患者さんの歯の並びや大きさ、歯肉の状態などにより、どのような大きさ、硬さの歯ブラシが適しているかは変わってきます。歯科医師、歯科衛生士に指導を受けて下さい。
歯磨き剤や洗口液で歯周病が治せるの?
予防効果は期待できても治すことはできない。店頭には、歯周病予防を謳う歯磨き剤や洗口液が並んでいます。こうした商品の広告には、歯肉からの出血や歯肉の腫れ、口臭といった言葉が頻繁に登場し、歯周病に効果があるように思う人も多いでしょう。実際、こうした症状を歯磨き剤や洗口液でなんとか抑えよう、あるいは治そうとしている人はたくさんいます。パッケージに『歯磨き予防』と明記している歯磨き剤や洗口液の場合、予防効果はある程度期待できます。しかし、『歯周病を治す』とはどこにも書いていないはずです。歯周病を完全に防いだり、治したりできるような夢の歯磨き剤や洗口液はありません。
歯ブラシ以外の補助的清掃用具にはどのようなものがありますか?
(1)デンタルフロス(2)糸ようじ(3)歯間ブラシ(4)デンタルピック(5)小ブラシ(6)口腔洗浄器などがあげられます。
(1)~(4)は歯と歯の間の歯垢除去、むし歯予防、歯周病予防に有効です。
(5)はワンタフトなどで一番奥の歯の清掃と矯正装置、ブリッヂ、インプラント等の清掃に用います。
(6)は水流を利用したもので歯垢の除去でなく、洗浄の効果や歯肉のマッサージ効果があります。
補助的清掃用具は、かかりつけの歯科医院で自分にあったものを選択してもらい、正しい使用法を歯科医師、歯科衛生士に指導を受けて下さい。
歯槽膿漏(しそうのうろう)と歯周病はどう違うのですか?
同じものです。歯周病は、以前は「歯槽膿漏」とよばれていました。
歯槽膿漏とは歯ぐき(歯肉)から膿(うみ)のでる病気という意味ですが、その他にもさまざまな症状があることから、いまでは「歯周病」と呼ぶようになりました。
歯周病って薬で治せないんですか?
薬だけでは治すことができません。歯医者さんで歯石を取ってもらったり、ご自分で歯磨きを改善したりする必要がまずあります。そのうえで必要ならば抗生物質の投与を受けることで歯周病の改善に効果を上げることがあります。
歯石を取るのは痛いでしょうか?
いずれも個人差はありますが、歯ぐきの上についている歯石を取る場合、ほとんど痛みはありません。歯ぐきの中の歯石を取る場合は多少痛みを伴う場合もあります。
その場合は麻酔をいたしますのでご安心ください。
ポケット(歯周ポケット)とは何ですか?
歯と歯肉の間には、歯肉溝という1mm程度の溝があります。歯周病になるとこの溝が深くなり歯周ポケットと言います。歯周病の検査の一つで歯周病の重症度を表し、深くなるほど重症となります。
口呼吸は歯周病に悪いのですか?
はい。口呼吸することにより口の中が乾きやすくなり、プラークが溜まりやすくなります。
口呼吸が歯周病に悪いというのは、口が開くことによって、歯と歯茎の周囲が乾燥し、歯周病菌は粘度を持つことで歯にへばりつこうとすることにあります。また唾液による自浄作用がなくなることから口の中の細菌の活動性を高めるなど、悪影響があります。
最近歯茎が下がってきたのですが、どうしたらよいでしょうか?
日本人は生まれつき歯の周りの骨や歯茎が薄い方が多く、その様な場合ちょっとしたことで歯茎が下がりやすいです。原因として考えられるのは2つ、過度のブラッシングと歯ぎしりなどの咬み合わせの不和です。その様な原因がないか、歯周病専門医の元で受診されることをお勧めします。また、下がってしまった歯茎は基本的には元に戻りません。歯肉移植のような歯周形成外科といわれる手術が有効ですが、それらが必要かどうかも併せてご相談ください。
電動歯ブラシと普通の歯ブラシでは電動歯ブラシの方がいいですか?
一概にどちらがいいとは言えません。
電動歯ブラシには、沢山の種類があり、それぞれブラシの形、大きさが違っています。単純な一平面を磨くことにおいては、電動の方が短時間で効率良くできると思いますが、複雑な形をした歯に、毛先がうまくあたっていないと意味がありません。
歯科医院で自分にあった歯ブラシの使用法の指導をうけることをおすすめします。
歯石を取ったあとから歯がしみるようになりました。大丈夫なのですか?
はい。歯石は唾液中に溶けている石灰成分が歯の表面に沈着したものです。
プラークで汚れている歯の表面の方がザラザラとしており、より歯石沈着は多いのですが、歯と歯の間や歯の凹部分など、沈着し易い形のところでは、やはり歯石は付いてくるようです。
唾液が口腔内に分泌される部分(唾液腺開口部)に近い部分でも歯石沈着は起こりやすいです。
上顎の奥歯の表側、下顎前歯の裏側などがその場所に当たります。
今回、歯石を取りました。また新しい歯石が付いてくると思うのですが、どれくらいの間隔で取れば良いのですか?
個人差があります。また、口腔内の状況によっても違いがあります。
口腔内の状況を分かっている担当の歯医者や衛生士に相談してみると良いと思います。
極めて一般的ですが、3ヶ月から1年の間位だと思います。
歯周病原菌が全身の健康に及ぼす影響は?
歯周病は糖尿病や誤嚥性肺炎、低体重児出産のリスクを高めます。
また、動脈硬化や心臓血管疾患のリスクを高める可能性があります。そのほかメタボリックシンドローム、骨粗鬆症、関節炎、腎炎などの他に、アルツハイマー型認知症との関連があるという報告もあります。
骨粗鬆症の薬を飲んでいて歯周病の治療はできるの?
外科手術以外の治療は問題ありません。骨訴訟症治療薬の一つである「ビスフォスフォネート製剤」を服用している患者さんは抜歯などの外科処置を行うと頻度は少ないですが、顎骨の壊死が起こることがあります。このため歯周病で抜歯や歯周外科を行う際は、服用の中止など原則として内科担当医らとの相談が必要です。プラークコントロールやスケーリング(歯石除去)は服用していても問題ございません。歯周病が進行しないようにしっかりとした口腔ケアが大切になります。
歯周病を悪化させる因子にはどんなものがあるの?
喫煙や骨粗鬆症や糖尿病は歯周病のリスクを高めます。
喫煙習慣があると歯周病が進行しやすいの?
喫煙習慣があると歯周病は進行しやすい。タバコが健康に対して有害であることは多くの人が認識しています。なぜなら喫煙は肺がん、高血圧、心臓血管系疾患の重大な原因となることがわかっているからです。
当然、喫煙が歯周病に及ぼす影響についても見過ごすわけにはいきません。喫煙習慣があると、歯周病が発症・進行する頻度が2~9倍高くなり、歯周病細菌の数が2倍以上になることがわかっています。これは喫煙が宿主(生体)に対して免疫抑制作用を発揮し、宿主・細菌相互作用に悪影響を及ぼすことが関係していると言われています。すなわち、喫煙習慣があると歯周病は進行しやすいと言えます。
歯ブラシはどのくらいの毛の硬さがいいのでしょうか?
硬すぎても軟らかすぎてもいけません。
歯ぐきの状態によって異なります。
歯科衛生士が合った硬さをお選びいたします。
歯周病患者はインプラント治療できるの?
インプラントは歯周病になり歯周病治療が必須となりますが禁忌でありません。歯を失った場合、インプラント治療を行うことで歯の様々な機能を回復することができます。歯周病で歯を失った方にとって、とても有益な治療選択となります。
しかし、歯周病に罹患している方は歯周病に似た症状であるインプラント周囲炎にかかるリスクが高いと言われています。インプラント治療を行う前に歯周病の有無を検査し、歯周病がある場合は専門的な歯周病治療を行うことで、インプラント周囲炎のリスクを下げることが可能です。また、術後は、歯もインプラントも定期的にメインテナンスが必要となります。「インプラント治療が得意な歯科医院=専門的な歯周病治療が受診できる」ではないので、十分注意が必要です。本学会では、歯周治療に関する専門的な知識や技術をインプラント治療にも応用できる歯科医師育成のため、歯周インプラント認定医・指導医制度を設けています。ひとつの目安としてご活用ください。
インプラント周囲疾患の治療法はありますか?
インプラント周囲の粘膜が腫れている初期であれば、インプラントの周りを徹底的に清掃し、細菌を取り除くことで回復が期待できます。しかし、インプラント周囲の骨が溶ける状態まで進行した場合は、超音波やレーザーなどを使う治療法が研究されていますが、現時点で根本的な治療法は確立されていません。
インプラント周囲疾患を予防することはできますか?
可能だと考えられています。インプラント周囲疾患は歯周病原菌が主な原因です。そのため、歯周病原菌をコントロールすることによって、予防できると考えられています。ただし、インプラント治療は比較的新しい治療であるために、歯周疾患と違い完全に予防できるかの科学的証明は今のところありません。しかしながら、10年程度の報告では、インプラント周囲疾患は歯周疾患とほぼ同様の用法で、ほぼ予防できることが、わかっています。歯周疾患をコントロールしてからインプラント治療を行うこと、インプラント治療が終わった後も、歯科医院での継続したメインテナンスを受けることが大切です。